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──A.L.M──

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第4話 「癒しの旋律」



                 【1】



 ぬかるんだ地面が足を取り、泥が靴底にへばりつく。時折思い出したように湿気の籠もった風が肌に吹きつけ、体力を削る。ゆらゆらと揺らぐ霧に満ちた視界が、精神を疲弊させる。

 こんな場所に進んで足を踏み入れるなどアッシュは御免だったが、それでも今の自分たちはこの場所を去るわけにはいかなかった。

 忌ま忌ましい限りだがな……

 アッシュは舌打ちを漏らし、薄霧に包まれた周囲を見渡す。

 ここはバチカルから南西付近、山地に囲まれた広大な湿原地帯を有する場所──イニスタ湿原。かつて現れた魔物によって、忘れ去られた街道の存在する地だ。

「それにしても、どんな魔物が居ると思います、アダンテさん」
「さてなぁ……。あの文献にも、あんま詳しいことは記されていなかったからなぁ……」
「……ま、また随分と、曖昧な話しですね」
「それも仕方ねぇのよ」

 引きつった笑み浮かべるガイに、カンタビレが憮然と答える。

「資料が見つかっただけ、まだマシってもんだろうな」
「まあ、それもそうなんですけどね」

 これにはガイも肩を竦めて、言葉を納めた。

 隠し部屋で女が発見した未発見資料──フランシス・ダアトの名が、著者として記されていた文献には、一般に公開されれば様々な分野に影響を及ぼすだろう多種多様な項目が記されていた。そして、そこには今の自分たちが何よりも求める情報が載せられていた。

「当時、鍵を精錬する際、原料として用いられた魔物。その特徴として、ある花の匂いを嫌う傾向がある……でしたか」

 基本的に集合意識体を使役する響奏器は、音素含有比率の高い存在──魔物の体音素を原料にして作成される。それはローレライの鍵も例外ではなく、むしろ通常の奏器よりも純度の高い音素を必要としていた。

 ダアトの書には、そんな鍵の錬成過程が、用いられた魔物の解説付きで載せられていた。

 イニスタ湿原に自分たちが居るのも、この魔物を狩るために他ならない。

 かつて街道としての賑わいを見せていた湿原に住まう魔物。討伐のために派遣された軍は、その悉くが返り討ちに合い、壊滅した。最終的に、湿原との境に魔物が嫌う臭いを発する花を植えることで、封じ込めを図ることになったという。

 神話の時代にその名を残す魔物──魔獣、ベヒモス。

「しかし、何度聞いても随分乱暴な方法のような気がしますけど、本当に大丈夫ですかね?」
「……まあ、もうそこら辺は、やってみないと何とも言えんよ」

 多少投げやり気味に、カンタビレが何度も繰り返した結論を告げる。

 カンタビレの話では、魔物が音素乖離を起こす直前に、鍵との間にコンタミネーション現象を発生させる事で、そのまま鍵の欠損部分を修復できるらしい。

「ベヒモスとやらが資料に記されていたように、第七音素に特化した魔物なら、ローレライの鍵で止めを刺すことで、何とかなるだろう」
「はぁ……何とかですか」
「ああ、たぶんな」
「た、たぶんですか」

 湿原に突入してから何度も何度も繰り返された遣り取りに、アッシュはいい加減我慢の限界だった。

「ちっ!」

 盛大に舌打ちを漏らし、ギロリと第六師団長を睨む。

「……ガイ、こいつに、そう言う類の慎重さを期待するだけ無駄だ」

 カンタビレとアッシュの関係はそれなりに長いものだ。一年ほど前、第六師団がダアトにおいて大詠師派に反旗を翻し、各地に分断されて以来、事実上の同盟関係にある。

 本当の意味で同盟を結べたのはアクゼリュス崩落以降になってしまったが、それでも何かと関わりのあった相手だ。この相手がどれほど慎重さという言葉と無縁な相手であるか、アッシュは嫌と言うほど思い知っていた。

「ひでぇ言いようだな、アッシュ」
「ふん……全て本当のことだろうが」

 情け無い声を上げるカンタビレに、馬鹿馬鹿しいとアッシュは鼻を鳴らす。

「そもそもだ。幾らベヒモスを誘き寄せる必要があるといっても、俺たちがわざわざ囮になる必然性があったのか?」
「……うっ……」

 今回の探索に出向いたのは何もこの三人だけではない。第六師団からも中隊規模の部隊が同行していた。それがなぜ、自分たちと別行動をとる事になったかと言えば、次のような経緯が存在する。

 まず湿原の入り口付近に陣を張り終えた段階で、カンタビレのやつが唐突に一つの指示を下した。

 曰く、最初は相手の警戒心を刺激しないためにも、少人数で向かった方がいいと。

 この宣言によって、とりあえず状況を判断するカンタビレと、戦闘能力が一般の教団兵と比べて突出しているアッシュとガイが先行し、ベヒモスを誘き寄せることになったのだった。

 確かにある面では、カンタビレの指示も納得できるものがあった。

 今回の標的である魔物が、あまりにも大人数が湿原に突入した場合は、姿を隠すケースが多いと、過去の討伐軍が派遣された際の記録からも判明していたからだ。
 しかし……

「偵察ぐらいなら、わざわざ俺達が出張らずとも、部下に任せて報告を待つのでも良かったはずだがな」
「……ぐっ……」

 胡乱な視線を向けるアッシュに、カンタビレが言葉に詰まった。しかし直ぐにこのまま言い負かされるのはマズイと気づき、慌てて言葉を続ける。

「い、いや、だけどな。僕らが偵察に出たのにも、きちんと理由はあったりするんだぜ?」
「ふん。大方、自分の目で資料に記された魔物を一番に見たかったとか、そんな下らん理由だろ?」
「…………ううっ……」

 鋭い指摘に、カンタビレは今度こそグウの音もでない。

 そんな二人の遣り取りを苦笑を浮かべながら見据えていたガイが、やれやれと口を開く。

「まあ、気持ちはわかるが、アッシュもそれくらいにしといてやれよ。どうにもアダンテさんに容赦ないね」
「こいつの計画性のなさが異常なだけだ」

 苦笑を深めるガイに、アッシュは容赦なく言葉を続けた。

 ちなみに、ヴァンの妹は今回の探索には同行していない。これは禁書庫で発見された資料の大部分が、創世歴時代の暗号を用いて記されていたことが影響している。

 一刻も早い暗号解読のためにも、ユリアの譜歌に馴れ親しんだあの女はダアトに残ることになったからだ。今もユリアシティの専門家と共に解読に励んでいるだろう。

「ううっ……か、仮にだ! 仮にだが、アッシュの指摘が正しかったとしてもだな……」
「……さすがにそこまで食い下がられると、俺も弁護のしようがないですよ、アダンテさん」
「ふん。無様だな」

 この後に及んで言い募るカンタビレに、二人の冷めた視線が突き刺さる。

「だぁーうっさいわい! 人の発言中に一々茶々入れんなぁ!!」

 思わず怒鳴り返してしまった所で、直ぐに周囲から注がれる視線に気付く。少し気まずそうに何度か咳払いをした後で、カンタビレは言葉を続ける。

「……ゴホン。あーともかく、一応アレだ。今回同行した部隊の奴らだと、ベヒモスの相手するには、ちと荷が重いって判断したのも本当だぞ。なにしろ、他に人手が出払ってるせいで、あんま実践経験のある部隊が動かせなかったからな」

 頭を掻きながら、言い訳のように付け足されたカンタビレの言葉だったが、確かにある面では真実をついてた。

 現在、ダアトはオラクルの再編成によって、大半の師団がまともに機能してない状態にある。今も正常に機能している師団と言えば、それこそ第六師団ぐらいのものだろう。

 それ故に、大半の業務に第六師団から人手が割かれ、ますます第六師団の負担が増し、さらにオラクルの再編が遅れる……といった負の循環に陥っているのが現状だった。

「……確か、件の場所を特定するのにも、随分と人手が割かれてるんだったな」
「ああ……そう言われてみれば、ローレライと契約が可能な場所を探索するとかいうのもあったね」

 アッシュの呟きに、ガイもポンと手を叩いて同意する。

 奏器の精錬方法が判明したのに関連して、件の文献から、ローレライとの契約には、特殊な場が必要であることがわかっている。

 詳しい話しはアッシュも知らなかったが、何でも雑多な音素の集うセフィロトではなく、ある種の澄んだ音素の集う場が必要らしい。障気に対して何らかの浄化作用を持つとも、素体と周辺の群生体との間に共鳴現象が起きるだの、それなりに情報は出揃っているが、未だ場所を特定するまでには至っていない。

 現在、この場所の探索にも、第六師団の人員の大半が割かれている。あまり認めたくないことだが、練度に不安の残る部隊しか動かせなかったというカンタビレの主張も、確かに一理あると認めないわけにはいかないだろう。

「まあ、どっちにせよ鍵をどうにかするのが最初だろ? とりあえずあんまカリカリすんなよ、アッシュ」
「……ふん」

 ガイの取りなしにも、アッシュはこれ以上話すことはないとばかりに、二人からあからさまに距離を取った。苦笑を深めながら、ガイがカンタビレに話を振る。

「アダンテさん。国際会議が終われば、人手不足が解決する目処は立ってるんですよね?」
「おぅ、そうだな。会議が終了すれば導師がダアトに帰還する。そうすれば、それなりに優先してうちに人材を融通してくれるだろうからな」

 今後の展開に関して、会話を重ねるガイとカンタビレを横目に、アッシュは一人考える。

 しかし……ヴァンの奴は何がしたいんだ?

 空を見上げる。視界に入る障気に覆い尽くされ、紫紺に染まり上がった異質な空。

 第七音素の総量は劇的な減少を始めている。それに反比例するようにして、世界を覆い尽くす障気の総量は拡大の一途を辿っている。

 アブソーブゲートでの決戦以降、ヴァン達の動向は依然として掴めていない。

 ローレライを消滅させる事で、スコアの支配から世界を解放する。奴の唱えていた言葉がそれだ。

 ならば、この世界の現状も、奴の布石の一つだとでもいうのか?

 大地の降下以降考え続けている疑問だが、答えは出ない。自分には何一つ、あの相手の目指すものが掴めなかった。

 アッシュは終りない思考に区切りを付けるべく、僅かに被りを振って空から視線を離す。向けた視線の先には、前を歩くカンタビレの頭があった。

 ……こいつはこいつで、未だに何かを隠してやがるしな。

 さすがにヴァンの奴と通じているとまでは思わないが、それでも目の前の男が、未だ自分たちに伝えていない事柄があると、アッシュは半ば以上確信していた。

「どうした? まだ何か不機嫌そうだな、アッシュ」
「……何でもねぇよ」

 言葉短く吐き捨て、アッシュは押し黙った。それにガイは少し首を傾げた後で、直ぐにカンタビレとの会話に戻って行った。

 その後は特に会話が弾むでもなく、三人は黙々と湿原を進んだ。

 徐々に街道沿いに植えられた花の匂いが薄れてきた頃、不意にカンタビレの足が止まった。

 眉根を寄せながら、上げられたカンタビレの視線が、霧に霞む正面を見据えて止まる。

 相手の反応を怪訝に思いながら、視線の先を追った所で、アッシュもそれに気づく。

 微かに、大気が振動している。
 湿原の水面が、一定の間隔で揺れ動く。
 草から滴る水滴が、水面に落ちるのを待つまでもなく、虚空で弾けて消えた。 

 その頃になると、誰もが動き出す。

 アッシュは僅かに腰を落とし、前方を見据える。ガイが腰の刀に手を添え、油断なく周囲を伺う。カンタビレの手に抜き放たれた触媒武器が構えられ、僅かに鼓動を刻む。

 ゆっくりと二つに別れ行く霧の向こうに──漆黒の体躯が露わになった。


 ─────■■■■■■ッッ─────■■■■■■────ッッッッッ!!


 打ち震える大気。

 全身を貫き通す超獣の咆哮は、物理的な威圧感を放つ。

 霧に霞む世界はただ一度の咆哮で終りを迎え、全員が一斉に戦闘態勢に入る。

「はぁ……このプレッシャー。随分と、凄いのが来たもんだな」
「ですね。まさかカイザーディスト並の巨体とは……」

 感心したように呻くカンタビレに続けて、こりゃデカイとガイが乾いた声を漏らした。どこか余裕を感じさせる二人の様子に、アッシュは多少呆れるものを感じながら、とりあえず警告を飛ばす。

「無駄口はそれぐらいにしておけ。──来るぞっ!」

 それは巨大な双角を備えた超獣。
 
 獣の全身を包む奇妙な波動が螺旋を描き、四肢を巡りながら鼓動を刻む。

 大地の上に立つ獣は自らの両椀を左右に開き、宣戦を布告する。

 神話の時代に名を残せし超獣──ベヒモスが、此処に降臨した。


                  * * *


「───はあぁぁぁぁぁっ!」

 先陣を切ったガイの裂声が響く。

 剣先に集う音素が突風を生み出し、切り裂かれた大気が後方で渦を巻く。

 一瞬にして消失した間合いの先、鞘から引き抜かれた刃が無数の真空刃を生じる。

「虚空───」

 真空刃に飲まれる漆黒の体躯に向けて、振り抜かれた刃に続いて蹴りが放たれる。

「───連衝刃っ!」

 蹴りの反動を利用して叩き込まれた斬り下ろしの一撃に、ベヒモスの動きが一瞬止まり───

 攻撃の命中した箇所が光に歪む。ついでベヒモスの全身を包む波動が鼓動を刻むと同時。

「───って、マジかっ!?」

 鏡に反射した光のように、全ての攻撃が弾き返された。拡散した衝撃派は周囲を駆け巡り、ガイの身体が虚空に吹き飛ばされる。

 まったく予想外の事態に動揺するガイに向けて、ベヒモスが動く。

「ちっ、灰燼と化せ───」

 ベヒモスの背後。右手に垂れ下げた剣先を後方に引き絞り、空いた左手を前方に突き出す。

 高速詠唱、譜陣展開、術式起動───

「───エクスプロードっ!!」

 煉獄の業火が、ベヒモスを飲み込んだ。

 全身を包む火焔に超獣は絶叫を上げながら、両腕を出鱈目に振り回す。自身を押し潰そうと迫る豪腕を見据えながら、アッシュは斬撃を放つ。軌道をずらされた前足が地面を穿つと同時、アッシュは間合いを離した。

 そこに体勢を整えたガイが、錯乱する超獣に追撃をかける。

「業火に飲まれろ───」

 逆手に握られた刀身が後方に引き絞られた。大きく落とされた腰が、全身のバネを引き締め、フォンスロットに取り込まれた音素が淡い赤色の音素の光を放つ。

《──熱破っ!》

 集束された音素が、膨大な熱量を伴い剣先の一点に集中する。

《────旋風陣っ!!》

 熱風を巻き上げながら放たれた剣閃が、業火の渦となって周囲を焼き尽くす。
 渾身の力を込めて放たれた紅蓮の回転斬りは、ベヒモスの巨体をものの見事に吹き飛ばした。

「ふぅ。さっきは助かった、アッシュ」
「……あの程度、気にするな」

 アッシュは油断なく構えを取りながら、小声で礼を言ってくるガイに言葉短く応じた。その視線は未だ油断なく、ベヒモスに据えられている。

 かなりの距離を吹き飛ばされた超獣が、視線の先でゆっくりと身体を起こす。起き上がりながら、巨大な両腕でビキビキと音が上がり、鉤爪が引き絞られる。

 響き渡る咆哮に、比喩などなしに、大地が震え上がった。

 ベヒモスを中心に霧が掻き消され、ビリビリと草木が揺らぐ。屈辱に怒り狂う超獣の両眼はこちらを睨み据え動かない。どうやら単なる獲物ではなく、敵として認識されたようだ。

「……さて、そろそろ頃合いかね」

 後方で一人状況を見据えていたカンタビレが、前衛に突出したガイとアッシュに言葉を投げる。

「二人とも、一旦引くぞ」
「了解」
「ふん……ようやくか」

 二人もカンタビレの指示を当然のものとして受け止め、即座に身を翻した。

 突然逃げ出した敵対者に、ベヒモスが怒りの咆哮を上げる。後方から迫り来るベヒモスに注意を払いながら、三人は湿原を駆ける。

 それにベヒモスは地響きを上げながら、このまま逃がすものかと追撃する。

 超獣が一歩踏み出す度に地響きが湿原を貫くが、三人は相手と付かず離れずの距離を保ったまま、逃走を続ける。

 しかし、この逃走劇も直ぐに終りを迎える。

 ある程度の距離を走った所で、突然三人が足を止めたからだ。

 不可解な行動だったが、ベヒモスは怒りの咆哮を上げながら、相手の行動を疑うでもなく、そのまま突進する。

 カンタビレがゆっくりと片手を上げた。握られた長剣が淡く山吹色の光を放つ。

 視界を占める霧が晴れ行き──この場に完全武装で待機していた、教団兵達の姿が露わになった。

 彼らの手には弓が構えられ、矢尻の向けられた先には、無防備に脇腹を見せるベヒモスの姿がある。

「うてぇ────────っ!!」

 指揮官の掛け声が上がると同時、大量の矢が放たれた。

 大気を切り裂き突き進む矢は一斉にベヒモスに突き刺さる。ついで矢を放った教団兵の後方から、詠唱を続けていた譜術師達の譜術が降り注ぐ。

 ベヒモスを中心に紡錘状に展開された部隊から、次々と放たれる攻撃は止まるところを見せない。爆音と衝撃音に混じって、ベヒモスの苦悶の声が聞こえる。

「ふぅ……どうやら、何とか上手く行ったみたいだな」
「…………」

 攻撃を放つ教団兵の姿を見据えながら、胸をなで下ろすガイに、アッシュは無言のまま答えない。

 今攻勢を掛けているのは、湿原の入り口付近に待機していた第六師団、一個中隊規模の部隊だ。

 一定の間隔を挟みながら、確実に矢と譜術は放たれ、戦場を朱に染め上げる。このまま行けば押し切るのも時間の問題かと思われた──そのときだ。

 全身を軋ませながら、ベヒモスの前足が踏み出される。
 ギチギチと骨を擦り合わせるような音が響き、踏み出された一歩に大地が沈む。
 双角を中心に荒れ狂う振動がベヒモスの巨体を包み込む。


 超獣が、咆哮を上げた。


 空を飛ぶ矢が一斉にへし折れる。放たれた譜術が一瞬で消し飛んだ。ベヒモスに押し寄せる全ての攻撃が──ただ一度の咆哮に吹き飛ばされた。

「なっ……どういう化け物だよ」
「…………」

 同感だな。驚きの声を上げるガイに内心で同意しながら、同時にアッシュはどこか納得が行くものも感じていた。これほどの相手なら、王都から派遣された軍が、幾度となく打ち負かされたというのも頷ける話しだったからだ。

「しかし、妙だな……」
「ん、妙だって……?」

 ベヒモスを見据えながら、アッシュは思考を巡らせる。

 先程、教団兵から放たれた攻撃は、ほとんど相手にダメージを与えていないようだ。

 よくよく思い返して見れば、確か遭遇時にガイの放った一撃も同じように弾かれていたはずだ。

 しかし、自分が放った攻撃は相手に届いていたように思える。

 譜術に飲まれ絶叫を上げるベヒモス。ついで放った切り上げに怯んだように前足の動きが鈍り、その後追撃に加わったガイの一撃も、確実にダメージを与えていた。

「一体どういうことだ……?」

 不可解な一連の流れに首を捻るアッシュの後ろから、どこか面白がるような声が届く。

「……やっぱりそういうことか。さすが鍵の素材に指定されるだけのことはあるわな」

 中隊に合流してから、無言のまま戦況を見据えていたカンタビレが初めて言葉を発した。アッシュは振り返り相手の顔を覗き込む。

 カンタビレはどこか面白そうな表情で、しきりに顎先を撫でている。

「……一人で納得してないで、さっさと説明しろ、カンタビレ」

 尚も奮戦を続ける戦闘を指して、アッシュは自身の抱いた疑問を投げかける。

「どういうことだ? あの相手に攻撃が届くには、何か条件が必要だとでも言うのか?」
「お、さすがに話が早いな、アッシュ」
「あー……できれば手短にお願いしたいんですが、アダンテさん」

 ベヒモスの様子を気に掛けながら、ガイが言葉を挟む。

「おお、それもそうだな。ともかく、アッシュ。このメンバーだと、基本的にお前の攻撃した後じゃないと、ダメージを与えられないはずだ」
「俺の攻撃後だと……?」

 不可解そうに眉を寄せるアッシュに、カンタビレがまあ聞けと、咆哮を上げるベヒモスを示す。

「鍵の材料になり得るってのは、伊達じゃないらしい。奴の周囲を常に取り巻く特殊な振動波が、たいていの攻撃を無効化してるんだよ。まあ、わかりにくければ、第七音素の膜を常にまとってるせいで、奴には攻撃が届かないとでも考えといてくれ」
「第七音素の膜……ですか。まあ、確かに俺の攻撃は最初効いてませんでしたね。
 ん……? でも、そうすると、アッシュの攻撃の後から、攻撃が届いてたのはなぜです?」

 確かに、そこに疑問が浮かぶだろう。だがガイの疑問にも、直ぐに答えが返る。

「簡単な話だ。同じ異相の振動波をぶつけてやれば、一定時間、膜が剥がれ落ちる。つまり、第七音素関連の一撃を当ててやれば、しばらくの間、通常攻撃も相手に届くってことだな」
「第七音素関連の一撃ってのは……ああ、なるほど」

 カンタビレの視線を追って、ガイが納得する。視線の先はアッシュの手に向けられていた。手には音叉のような形状をした、第七音素よって構成された特殊な譜術武器──ローレライの鍵が握られている。
 
「ローレライの鍵持ってるアッシュが、最初に一撃当てる。それに僕ら全員が連携して攻撃当てて行くのが、一番確実だろうな」

 説明は以上だと、カンタビレは言葉を締め括った。

「なるほどね」
「ふん……確かに厄介な相手だが、他の六神将やヴァン程じゃないな」

 不敵に笑って告げたアッシュの言葉に、ガイが苦笑混じりに刀を構える。

「ま、それもそうだな。手品の種はわかったんだ。早いとこ終わらせようぜ、アッシュ」
「言われるまでもない──行くぞ!」

 アッシュが先陣を斬る。

 譜術を交え、苛烈なまでに攻撃に特化したアッシュの剣がベヒモスを追い詰めていく。当然、その分隙も多くなるが、ガイの洗練された剣技が穴を埋め、相手に反撃の機会を与えない。

 交互に入れ代わり、放たれる斬撃はベヒモスを確実に切り裂いていく。周囲の教団兵から驚嘆の声が上がる中、二人は油断することなく、確実にベヒモスを追い詰めていく。

「それにしても、随分と硬いな!」
「ちっ……しぶとい奴だ!」

 戦況は一方的に進んでいるが、それでも超獣は倒れない。

 気が急くような焦燥感にジリジリと晒される二人に、後方から声が飛んだ。

「デカイの一発行くぞっ!」

 どういう意味だ? 後方から届いた声にアッシュが意識を向けると同時。


 ベヒモスの巨体が、その場に押し潰された。


 攻撃的な爪をおびた四肢が有り得ない方向にひしゃげ、双角を冠する頭部は地面に半ばまで沈む。地面に展開された譜陣が煌々と山吹色の光を発しながら、ベヒモスの巨体を押しつぶす。

「これは……アダンテさん?」

 ベヒモスの頭上に浮かぶ漆黒の球体が轟々と唸りを上げ、完全にベヒモスの行動を拘束する。

 後方で展開される譜陣が、山吹色の燐光を放つのが見えた。

「第二奏器……か。俺も奴が使っているのを見るのは初めてだが……」

 発揮された威力に、自然視線が険しくなるのを感じる。

 ……こいつも大した化け物ってことか。

 幾分、視線が鋭くなるのを感じながら、アッシュはカンタビレを見据える。

 そこで、奇妙な違和感を覚えた。譜陣を展開するカンタビレの額から、大量の汗が流れ落ち、次々と地面に滴り落ちる。この攻撃を維持するのに余程体力を使うのか、其の顔色はかなり悪く、青ざめて見えた。

「だぁーアッシュ! ぼさっとしてねぇで、さっさと鍵で止めをさしやがれっ!!」

 カンタビレの状態に多少引っ掛かりを覚えたが、今は止めを刺すのが優先すべきだろう。頭を切り換え、アッシュは手にした剣──ローレライの鍵を構え直す。

 一撃で、仕留める。

 敵を見据えながら、腰を沈める。剣を僅かに後方に引き、音素を収束させる。

「こいつで─────クタバレっ!!」

 ──斬影

 超重力の軛に囚われたベヒモスの巨体が振り抜かれた斬撃に切り裂かれる。身動きの取れない相手を眼科に見下ろしながら、渾身の力を込めて刺突を放つ。

 ───烈昴刺

 突き出された刀身が、ベヒモスを貫いた。


 ─────■■■■■■ッッ─────■■■■■■────ッッッッッ!???


 絶叫が上がり、超獣が其の巨体を激しくよじらせる。

 だが、カンタビレの展開した超重力の力場は、ベヒモスを逃がさない。

 最後に一度、長い長い咆哮を上げると──其の全身から力が抜け落ち、超獣の命は此処についえた。

「…………」

 アッシュは無言のまま、眼前のベヒモスの巨体を見下ろす。

「まだ鍵を抜くなよ、アッシュ。今からそっち行くから」
「……わかってる」

 刀身を突き刺したまま、アッシュはカンタビレの指示に従う。近づいて来たカンタビレが鍵に手を伸ばし、譜陣を刻む。

「これでよし。あとは音素乖離が始まり次第、コンタミネーション現象が発生して、鍵の損傷部分を自然補完してくれる……はずだ」

 それまで真面目に聞いていたガイが、がくりと膝から力が抜けたように突っ伏す。

「は、はずって……随分と頼りない話ですね」
「あー……もう何度も行ってるが、これも仕方ねぇのよ。この湿原だ。ロクな機材も運べなかったからな」
「……ふん」

 間の抜けた遣り取りをする二人に鼻を鳴らし、アッシュは一人鍵に視線を戻す。

 音素の乖離する光が周囲を包み、超獣の全身から燐光が舞い上がっていた。

 どこか幻想的な光の乱舞の中で、一度始まった音素の乖離は爆発的な勢いで進み行き───

 突き刺された鍵に全ての音素が収束し、光は収まった。

 アッシュから鍵を受け取ったカンタビレが、慎重に刀身を返す返す見返す。

「……よし。何とか上手く行ったみたいだな。もう大丈夫だぜ」

 カンタビレの保証に、場の緊張感が一気に緩む。

 掲げ上げられたローレライの鍵。刀身にかつて刻まれていた無数のヒビは全て消え去っている。

 どこか以前よりも輝きを増した白刃が、障気に覆い隠された空から僅かに洩れる日の光を反射し、豪華絢爛な輝きを放った



                 【2】



 風防を擦り抜け吹きつける風が全身をなめる。

 上空から銀に輝く機影が、翼に取り込んだ音素を吹きつけながら、ゆっくりと大地に降りた。

 着陸したアルビオール2号機から、四人が姿を表す。それに周囲から見守っていた人々が歓迎の声を上げる。

 先頭を歩く導師の帰還を、周囲に居並ぶ教団の司祭たちが盛大に出迎えていた。

 後に続く三人のうち一人の少女──アニスが司祭たちの宥め役に廻り、導師を背後に庇う。それに苦笑を浮かべながら、残る二人──ジェイドとナタリアは人垣から距離を取る。

 少し進んだ所で、教団本部入り口前に立つ、一人の人影に気付く。相手もこちらに気づき、その顔に微笑を浮かべた。

「ご苦労さまです、大佐、ナタリア。二国間で協力体勢が築けたことは聞いてます」
「そちらも大したものですよ、ティア。ダアトの著書が発見されたそうですね」
「そうですわ。教団の始祖が記した本なら、ローレライに関する項目も必ず存在することでしょう。……契約に関する事柄は、どれくらい進展を見せおりますの?」

 ナタリアの問い掛けに、ティアはここでは場所が悪いと移動を促す。

 それを受けて、ジェイドは未だ教団員に囲まれ動けないイオンに、先に行くことを示した。

 相手が頷くのを確認すると、三人は先に進み始める。

「それにしても……どうにも人の姿が見られませんねぇ」

 宗教都市ダアトの街並みは、どこか閑散としていた。

「おそらく、障気の影響だと思います」
「ダアトにおいても、やはり障気が人心に与える影響は等しいということですのね」

 教団本部への道を進みながら、三人は現状の深刻さに表情を暗くなる。だが直ぐにジェイドは話を切り換える。

「まあ、ともかく道すがらでもできる簡単な情報ぐらいは、交換して置きましょう」
「そうですわね。では、まず私から……」

 最初にナタリアが国際会談の大まかな結果を説明する。

 会議の結果、帝国と王国の間に当面の間協力関係が築かれた。基本的な条項は、外郭大地降下計画時に結ばれたものと変わりないが、それでも両国は自分たちの行動をバックアップしてくれることになった。

「……国際会議に関しては、以上ですわ」
「そう……わかった。なら、今度は教団側の動きに関して、説明しておくわ」

 続いて、ティアが基本的な教団で起こった流れを説明し始める。

 禁書庫でフランシス・ダアトの記したと思しき書物が発見された。その記述に基づき、ガイとアッシュはカンタビレと共に、現在ローレライの鍵を修復するべく、湿原に向かっている。

「私はダアトの書の解読を進める為に、本部に残りました。契約に必要な、新たに発見された事項もあります。ですが、そちらに関しては、教団本部で導師も合流後に話そうと思います」

「なるほど……わかりました。しかし、ローレライの鍵の修復ですか……どうやら想像以上に、厄介な事態になっているようですね」
「湿原の魔物は強力な存在だと耳にしたことがありますわ。アッシュ達が心配ですわね……」

 そうこう話をしているうちに、教団本部に到着する。

 しばらくの間、教団のロビーで現状に関する話をしていると、イオン達が遅れて姿を表した。

「すみません、皆さん。足を止める形になってしまって……」
「大丈夫ですよ、イオンさま。信者の人たちを宥めるのもイオン様の大切なお仕事ですもん。皆もそれぐらいわかってますって~」
「そうですわ、導師イオンの苦労は、私達為政者にとって決して無視できないものですもの」
「為政者側の勤めというものは、非常時にこそ大事になりますからね」
「ええ。──それでは、行きましょう」

 全員が合流したのを確認すると、ティアが皆を先導して歩く。少し進むと、教団に数多く存在する会議室の一室に行き着く。扉を開けて中に入ると、そこにはライナーの姿があった。

「皆さん、お待ちしておりました。どうぞこちらに」

 全員が席についたのを確認すると、まず最初に導師イオンが口を開く。

「では二人とも、報告をお願いします」
「はい。……ライナー、後はお願いします」
「わかりました。では、こちらの資料をどうぞ」

 ライナーが資料を回し、全員に行き届いたのを確認すると説明を開始する。

「現時点で判明しているのは、契約には大譜歌とローレライの鍵が必要不可欠だということです」

 契約に必要とされるものとしてまず、触媒となるローレライの鍵。
 鍵に備えつけられた宝珠に術式が施されており、音素が流れ込むと同時に譜陣が展開される。
 展開された陣の上で、七つの詩篇からなる大譜歌を謳い上げることで、契約が結ばれるらしい。

「以上に関しては、ある程度解決の目処が立っています。ですが、未だ進展のない事項も存在します。ダアトの書から新たに判明した事柄なのですが……どうも、ローレライと契約を結ぶためには、譜陣を展開する場所にも、特殊な条件が必要なようなのです」
「展開する場所に、特殊な条件……ですの? それはセフィロトではダメなのかしら?」
「私たちも、まずそれを考えましたが……やはり、違うようです。創世歴時代ならば話は別だったようなのですが、プラネットストームが形成された以降のセフィロトは、契約には不向きな場所になってしまったようなので」

 話が掴めないと首を捻る一同に、ライナーが詳しい説明を続ける。

 何でもセフィロトは基本的に音素の流れが強すぎる為に、雑多な音素が入り交じり、契約を結ぶには不適切な場所になってしまったらしい。また、地殻が障気に汚染されていたことも、否定材料の一つになっているそうだ。

「現在、第六師団の人間の大半が、この場所の探索に人手を割かれています」

「ふむ……それでは、この場所を見つけ出すために、標となるようなものは判明しているのでしょうか?」
「ダアトの書に記されていた事項によると、何でも純度の高い音素を常に保持している場が相応しい、と示されていました。これは場に満ちる音素力が一定に保たれ、常に安定している状態にあると考えてもらえればいいでしょうね」

 どうにも専門用語が続いたことで、アニスが頭を両手で抑えながら、うーんとうめき声を上げる。

「えーとライナー。そういう専門用語じゃなくてさ。具体的には、どーいう場所のこと言ってるの?」
「具体的にですか。そうですね……。現状を考えるに、障気を寄せつけないような場所が見つかれば、そこが契約に最適な地と言い切ってしまっても、間違いないでしょうね」
「障気を寄せつけない場所……ですか。これはまた難しい………」

 大地の降下に伴い、地殻に押し戻されるはずだった障気は、今やオールドラントの地表を覆いつくしている。世界そのものが障気に包まれたと言っても、過言ではない状況だ。そんな状況で、障気を寄せつけないような場所があるとすれば、かなり目立つことは請け合いだろう。

 しかし、そもそも障気を寄せつけないような場所が、はたして存在するのかという問題がある。

「ふむ……他に判断基準となるような材料はありませんか?」
「難しいですね。書の解読は、基本的に第七譜歌の歌詩に力が注がれていた為、契約の地に関する分析はあまり進んでいない状態です。他に判断材料になりそうなものと言えば……音素力を一定に保つには、何らかの触媒と成りうる存在が必要だということぐらいですね」
「触媒と成りうる存在……ですか?」
「ええ。障気を寄せつけないような場所があるとすれば、其処には周囲に存在する雑他な音素を濾過する役目を果たす〝何か〟が存在するはずです」

 つまり、障気を寄せつけない場所があるとすれば、そこには誰もがそれと気付くような、特徴的な存在があると言える。

「また、仮にこの〝何か〟が危険な状態に晒された場合は、周辺環境にも何らかの影響が出ることが考えられます。例えば、周辺住民の間に病人が多発したり、草木が絶ち枯れるなどといった目に見えた異常事態が発生するでしょうね」

 そこまで続けた所で、ライナーの言葉が少し弱まる。

「あくまで、この〝何か〟の力が弱まった場合のことなので、後半はあまり参考にはならないでしょうが……私たちにわかっているのは、それぐらいです」

 そう言って、ライナーは溜め息をついた。

 何とも難しい問題だった。

 現在判明している手元の材料は、そのほとんどが抽象的なものだ。直接的に手がかりとなるようなものは何一つとして存在しない。

 誰もが考え込む中、不意にアニスが言葉を漏らす。

「異常事態……ん? そー言えば……どっかで、昔似たようなこと聞いたことがあるような気がするような……?」

 首を傾げながら、何かを思い出そうとするアニス。
 その言葉を聞いた瞬間、ジェイドが眼を見開いて立ち上がる。

「……音素が一定に保たれ、触媒となる何かが存在する……確かに、あの場所なら全ての条件が揃う……」

 周囲から向けられる呆気に取られたような視線にも、まるで気にした様子も見せず、ジェイドはニヤリと不敵な笑みをアニスに向ける。

「お手柄です、アニス」
「はい?」

 よくわかってないアニスに、ジェイドは沸き上がる興奮を抑えるように、メガネを押し上げることで表情を隠す。

「皆さん、契約に適した場所に、見当がつきましたよ」
「それは本当ですか、大佐!?」
「ええ。おそらく、そこで間違いないでしょう」

 驚愕する皆の視線を集めながら、ジェイドはゆっくりと口を開く。

「樹齢2000年とも言われる大樹の存在する街。かつてこの大樹が枯れかけたとき、周囲に存在する植物にも多大な影響を与えたと言われています」
「まさか……?」

 ジェイドが最初に続けた言葉を聞いた瞬間、誰もがその場所に気付く。

「ええ、その通りです」

 ニヤリと笑みを浮かべると、ジェイドは一息に告げる。

「──ソイルの木を有するセントビナー。彼の地こそが、ローレライとの契約の場になるでしょうね」

 そう言って、ジェイドは事も無げに肩を竦めるのだった。



  1. 2005/05/26(木) 19:49:59|
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