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威海に関するアレやコレ 其の壱





威海発見

──とある村落で起きたこと──



 この世界において、大規模な国家間の戦争が起こらなくなって久しいのは誰もが知る所だろう。その理由は諸説論じられているが、誰もが同意する最大要員として一つの発見が上げられる。

 かつては神隠しと呼ばれた現象の行き着く先、此の世と異なる彼方の世界───後に【威海】と称されることになる、特異空間の発見である。

 20世紀初頭、この新たな世界は、極東のとある島国において発見された。

 19世紀に西方から始まった帝国主義が世界中を席巻していく中、この波に飲み込まれない為に、この極東で何世紀もの間引きこもっていた島国も、やむを得ぬ選択として近代化を選んだ。これまで正当と評されてきたあらゆる価値観が急速に一新され、近代化を求める為にあらゆるものが是とされた。

 そして、かつては神聖不可侵とされていたものたちが緩やかに姿を消して行こうとした矢先、この異質な世界は発見された。


「駐在サーン。駐在サーン」
「なんだ坊主ら、そんな慌てて」

「なんか山の麓でさ、変な場所見つけたんだぜ」
「すんげぇーの! なんか、地平線っての? そんなのが見えるんだぜ」
「はぁ……そりゃ良かったな。おいちゃん忙しいから、また今度な」

「だぁかぁらぁ! 本当だって! 嘘じゃねぇよ」
「信じてくれよ、駐在サーン」
「なんかの見間違いか、寝ぼけてたんと違うか?」

「絶対ちげぇーって! ともかく、ついてきてよ!!」
「駐在サンも絶対みたらぶったまげるから!!」
「……はぁ。わかったよ。案内してくれ」

 とある山間の村落で、子供たちに連れられた駐在員が目にしたものは、あまりに異質なものだった。

「な、スゲェだろ?」
「地平線が見えるもんなぁ……」
「こ……こいつは、えらい発見だぞ。俺の手には、負えんな……」

 数日の内に、本庁に正式な応援要請が寄せられ、正式な調査隊が派遣された。派遣された者たちの中には地質調査の専門家や、大学の教授を務める者たちの姿もあった。

「な、何なんだ……この空間は……?」
「物理的にありえん! な、なぜだ!? どうやってこれだけの規模の空間が、あんな鳥居の先に存在するんだっ!?」
「信じられん……」
「だが、存在するのもまた事実か」

 集められた者たちは誰一人として、そこが如何なる場所なのか理解できなかった。

 この新たな領土、【威海】はとかく謎の多い空間だった。

 あらゆる法則が此の世と異なる様相を見せ、どこか深海の底にも似た、威圧的な空気を放つ膨大な空間が広がっていた。

 そして何よりも恐ろしいことに、この場所は長時間滞在するだけで、人心に歪みを発生させて行くというあまりに奇怪な側面も備えていた。

 国内に発見された最初の威海調査に立ち会い、後に名付け親ともなった謀国立大学教授は後年、其の精神を病み、最期は自室にて首を吊った状態で死んでいるのを発見された。


『我々は……触れてはならない領域に、手を出してしまったのかもしれない』


 彼の残した遺書には、そんな言葉が走り書きとして、残されていたという話だ。



  1. 2007/05/05(土) 00:50:25|
  2. オリ長編文章
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