全手動軽文量産機

──A.L.M──

書庫へ戻る |  日記過去ログ |  アビス総合目次 |  ジャンク作品目次 |  お勧め一次創作 |  お勧め二次創作 |  掲示板 |  注意書き |

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

威海に関するアレやコレ 其の弐





威海探索

──派遣人員達の憂鬱──



 初期の探索と簡単な開発が行われた一年後には、威海に派遣された人員の半数以上が精神的に錯乱、この特異空間において散ったと言われている(初期の探索は最重要機密として秘匿されていたため、正式な報告文書などは一切残されていない)


「しかし、何なんだろうな、この場所はよ」
「うむ。確かに不可解な場所だね。しかし……ここはそもそも、本当に日本なんだろうか?」
「あーあー、俺たち故郷に帰れるのかね」

「お前たち、無駄口叩いてないでとっとと仕事に戻れ!!」

『ぅいぃーっす』

「ったく、お前らは……」

「隊長、しかしアレですね。昨日もまた、錯乱したやつが出たんですよね」
「ああ、僕も聞いた覚えがあるね。確か、隣の隊の者だったかな」
「可哀相になぁ……思い詰める奴だったんだろうなぁ」

「ん……まあ、否定しても仕方ないか。あんまり触れ回るなよ」


 威海において発生する問題は、送り込まれる人々に二の足を踏ませるには十分な要素だったが、それでも政府は次々と派遣人員を送り出して行った。この特異空間には、全ての問題を取るに足らぬ要素におとしめる、この島国にとっては危険すぎる魅力を放つ、求めて止まぬものが存在していたからだ。


「あ、隊長、なんかまた向こうで鉱物資源発見したって報告がありましたよ」
「なに、またか?」

「今度は何の鉱脈だろうな」
「うむ、一昨日は油田が見つかったはずだね」
「タングステン鉱脈が欲しいなぁ。国産の戦車とか持ちたくね?」

「無駄口!!」

『ぅいぃーっす』


 初期の簡単な探索だけでも、この新たな世界には、近代化を進めるために必要十分な量を遥かに越えた資源が、果てることなく貯め込まれていることがわかっていた。

 当時の議員たちは、この発見報告を聞いた瞬間、馬鹿を言うなと怒鳴り返し、それが真実だと理解するや笑いが停まらなくなったという。それほどまでに、信じられない量の資源が多種多様に、取りつくせない程の規模で、この威海で確認されたのだ。

 様々な問題をはらみながらも、探索隊は次々と組織され、開発のために送り込まれて行った。


「はぁ……しかし、俺たちも大丈夫かね。最近俺、どうも変な声とか聞こえるんだよ」
「うむ、奇遇だなぁ。僕もなんか妙に変なものが見えるときがあるのだよ」
「俺も俺も。なんか、たまにちょっとしか力入れてないのに、飯盒がぐしゃって潰れたりすんだよ」

『いや、それはないだろ』
「いや、本当だって……」

「だぁかぁらぁ! お前ら、無駄口叩くなっ!!」

『ぅいぃーっす』

「ったく、まあ、お前らが此処を気味悪がる気持ちもわかるが、交代要員が来るまでの辛抱だ」

(……もっとも、交代要員が本当に送られてくるかも、怪しいところだがな)


 初期の探索における事態を重く見た政府は、人員の交代を一週間というかなり短い期間に区切っていたが、それも現場においては半ば以上無視され、数年単位で滞在する者たちがいくらでも存在するという、名目上だけの公約といった状態が長く続いたという。

 この劣悪な環境が改善されるまでには、まだまだ長い年月が、必要とされるのだった。



  1. 2007/05/05(土) 00:40:49|
  2. オリ長編文章
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可(誤字・脱字等の報告を下さる場合は、チェックして頂けると幸いです)

トラックバック

トラックバックURL
http://suimin5088.blog58.fc2.com/tb.php/153-a08e514c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
 
書庫へ戻る |  日記過去ログ |  ジャンク作品目次 |  アビス一覧目次 |  お勧め一次創作 |  お勧め二次創作 |  掲示板 |

FC2Ad


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。