全手動軽文量産機

──A.L.M──

書庫へ戻る |  日記過去ログ |  アビス総合目次 |  ジャンク作品目次 |  お勧め一次創作 |  お勧め二次創作 |  掲示板 |  注意書き |

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

威海に関するアレやコレ 其の四





威海開発

──門の安定化技術の開発──



 政府主導で組織された統合学府によって、構築された【架学理法】に基づき、【威海】の開発は公的な支援の下、急激に押し進められて行った。

 大量の資源が次々と産出され、国内に建造された工場に流れ込む。製造された製品は内外問わず売り出され、獲得された外貨によって最新式の工作機械の設計図を購入、マザーマシンの研究開発にも資金が投じられ、国内の設備投資は加速度的な勢いで押し進められて行った。

 極東の島国は、未曽有の好景気に遭遇していた。

 数年後には、【威海】とこちらの世界を繋ぐ門を安定させる技術と、新たに門を発生させる技術が確立していた。


「ようやくここまで来たねー」
「うむ。ついに安定期に門を維持することができるようになった訳だね」
「もうホント長かったよなぁー」

「というか、交代要員来ても、結局うちの隊だけ、一度も内地に帰れてなくないか?」
「……言うな。どうにも、哀しくなって来る」
「だよなぁ……ああ、故郷が恋しい」

「ったく、お前らはまた無駄口を叩きおって」

「あ、隊長。すんまんせーん」
「以後、無駄口は慎みむ方向で善処しよう」
「しっかし、隊長、なんで俺らだけ内地に帰れなかったんですか?」

「一応、俺たちはこっちがわの精鋭部隊ということになっている」

『…………嘘くさ』

「ええぃ! 俺が言った訳じゃないぞ!! 本部のやつらが勝手に宣伝しやがったんだ!!」

「はぁ……やっぱそれって、うちの隊からばっか、変な能力持ちがでたからですかね?」
「むむ、確か正式な呼称がつけられていたはずだが……なんと言ったか?」
「なんたら特殊技能執行者とか言うんじゃねぇの?」

「それくらい覚えておけ! 甲種・特殊技能執行者だろうがっ!!」

「ああ、それですそれです」
「おお、言われてみればそうだったね」
「さすが隊長。神経質に無駄なことまで覚えてますね」

「くぅぅ……な、なんだってうちの隊はこんな規律が緩いんだぁっ!?」

「隊長の人柄でしょう」
「うむうむ。上を見て下は育つというやつだろうね」
「錯乱して人がどんどんいなくなるより、多少緩くても壊れない方がマシですよ」

「……まあ、それもそうだな」

 この頃になると、威海における長期滞在を可能にする結界技法もある程度の発展を見せていた。この成果が過大に宣伝された結果、派遣人員の威海における滞在期間は延長され、当初の交代期間であれば、何の問題もなく内地に帰れたであろう人員たちにまで、深酷な問題を発生させていた。こうした問題が解決するまでには、いましばらくの時を待たなければならなかった。

「しかし、こんなに資源運び出して大丈夫なんかね?」
「うむ、確かに心配になるね。ここからこれでもかというぐらいに大量の資源を運び出して、次々と外貨に変えている訳だ」
「絶対怪しまれてるよな。本来出るはずのない鉱物資源とかじゃんじゃん輸出してるしさ」

「……確かに、そろそろ隠し通すのも限界だろうな」

「でも、正直言って、ここの存在バレたらまずくないですか?」
「これだけの量の資源を産出することがわかったら、攻め込まれる可能性は否定できんだろうね」
「げぇ、戦争とかもう二度とゴメンだよ。俺、要塞攻めが今でもトラウマなってんだぜ?」

「まあ、あまり心配するな。新しく門を開く方法を研究してる連中の話だと、一つ一つの門が繋がる先はそれぞれ別の場所らしいが、どこもここと似たようなもんで、資源がゴロゴロしてるって話だ」

「はぁ……つまり、時期を見て門の発生方法を公開して、一人勝ちを止めると」
「ふむ……確かに、変に恨み買いすぎても怖いという考えか」
「そんで俺たちは門の安定化技術を発展させて、門を持った国からパテント料を搾り取ると」

「そういうことだろうな。まあ、詳しい部分は上の連中が判断することだ」

「俺たちは穴掘るだけってことですね」
「いったい、いつまでこちら側に居ればいいのだろうね?」
「はぁ……故郷が恋しい」


 新たに発生された門は、それぞれが独立した空間と繋がっていることも確認されたことで、もはや門を安定化させる技術を除けば、【威海】の存在するという情報を独占する意味も薄れていた。(門の発生技術が洩れたところで、繋がる先が別の空間であれば、他の列強との間に対立が発生する可能性も薄いという判断の下だった)

 その頃には、列強の末席につらなるとは言えども、本来なら無資源国でしかなかった島国のあまりに突然の好景気に、世界中の国々が多大な不審感と興味を抱いていた。

 政府としても、【威海】の存在をいつまでも隠し通せるはずがないと理解していたのか、同盟国経由で、【威海】の発見と【架学】という新たな学問体系の存在を、虚偽を交えつつ、徐々に流して行った。

 そして高まる他の列強の不審感と要求を前に、ついに威海門を開く過程を示す公開実験が、世界的な場で行われることが決定されるのだった。




  1. 2007/05/05(土) 00:21:05|
  2. オリ長編文章
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可(誤字・脱字等の報告を下さる場合は、チェックして頂けると幸いです)

トラックバック

トラックバックURL
http://suimin5088.blog58.fc2.com/tb.php/155-67e539b8
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
 
書庫へ戻る |  日記過去ログ |  ジャンク作品目次 |  アビス一覧目次 |  お勧め一次創作 |  お勧め二次創作 |  掲示板 |

FC2Ad


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。