全手動軽文量産機

──A.L.M──

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威海に関するアレやコレ 其の六





威海侵攻

──威海侵攻、大戦の勃発──




 ───威海からの侵攻。それはあまりにも突然、発生した。

 既に世界中に威海の存在が知れ渡り、浸透していた時期だ。この突然の侵攻は、世界中を混乱の渦に叩き込んだ。

 しかも、侵攻してきた相手とは人類ですらなかった。
 悪魔、妖物、精霊、悪霊───あらゆる国の伝承に残された、近代化の過程で否定されてきた概念存在、人類以外の存在より発生した異相具象体の現実世界への顕現だった。


「ちっ……何だってんだ、やつら? 機銃がまるで効いてないぞ?」
「蟹とか虫? ふむ、角がいっぱいあるな。甲殻類というのだろうか、ああいう生き物とは?」
「でもさ、生き物なら、鉛玉にぶち当れば普通に死ぬぞ?」

「……お前ら、この後に及んで緊張感のカケラもないな」

「あ、隊長。ごくろーさんです」
「うむ。僕らが緊張感ないのは、今更の話だからね」
「そうそう。もうこんだけ長くこっちで過ごせば、ああいうやつらが攻めてくるのも、さして意外性のカケラもない展開ですしね」

「まぁな……俺も上に再三警告してたんだがなぁ。こんな薄気味悪い空間だ。絶対に何かがいるはずだとな。まあ、結局こうなるまでわからんかった訳だが」

「まあ、こっちに来たことのないお偉いさんじゃぁ、理解できない認識でしょうねぇ」
「であろうね。僕らみたいに長くこっちいると、かなり高い確率で、異常な声や存在を感じ始めるもんだけどね」
「隊長がお仲間なおかげで、うちの隊はけっこう装備を整えられたから、マシな方なんだろね」

「できる限りのコネを使って、かき集めたからな。しかし、それもこのままだと焼け石に水だな」

「ですね。正直言って、碌に装備もない他の部隊はどんどん喰われてますよ」
「スコップだけしか配られてない隊は悲惨だろうな。うわぁ……果敢精神で突撃命令を出している場所まであるしね。この陣地ももって、あと数時間といったところか」
「げっ、もしかして、接近戦とかやらにゃらんの? 絶対やだぞ、俺。どんだけ豆鉄砲でもいいから、せめて相手にきちんと通用する装備を用意してくれないと、無駄に死ぬだけだって」

「まあ……な。砲撃も一応損傷を与えているようだが、あまり効果的には見えん。こりゃ、かなり手痛い戦訓になったな。やはり、架学理法とかいうやつを本格的に軍事技術に導入する必要があるだろう」

「架学ですかぁ……正直、使えてるらしい俺らにも、よくわかってないのに大丈夫ですかね。こんなことなら、もうちっと真面目に剣術勉強しとけばよかったなぁ」
「力が少し強くなる、変なものが見える、耳が良くなる……僕らを見る限りでも、効果的に使えそうとはとてもとても言い難い能力が多い所だしねぇ」
「国に帰れたら、じいちゃんに退魔法とかきちんと習うかね。はぁーやだやだ」

「ったく、お前らは……ん? あれは……撤退信号か! 喜べ、ようやく国に帰れるぞ。戦略的撤退、開始!!」

『ぅいぃーっす!!』


 大戦の経過に関しては、ここで詳しく述べることは止めておく。

 ただし、この第一次威海侵攻によって、科学とは相容れぬ技術と見なされていた架学が、本格的に軍事技術として導入され始め、現在における物理科学とオカルト技術の融合した学問体系の基礎が築かれたということは覚えておいて損はないだろう。

 この大戦を通して、架学は急激な発展を遂げた。架学理法を駆使する甲種・特殊技能執行者達もまた常に前線に立ち、目覚ましい戦果を上げたという。

 特に名を知られている者たちを上げるならば、最初期の探索から常に威海に詰めていた精鋭部隊が有名だろう。この部隊には、後に決定的な勝利を人類にもたらすことになる希代の天才退魔術師、東堂勘九郎の名や、後に歴史の流れの中に消え去った、非業の最期を遂げたと言われる空理干渉技能発案者、春日井怪奇の名も確認できる。

 しかし、そうした例外達を除けば、特殊技能執行者達の損耗は激しいものだった。すべてが終わった後には、大戦に参戦した特殊技能執行者達は、膨大な数の戦死者を計上していた。

 そして戦後、こうして著しく減少した特殊技能執行者を保護するという名目の下、議会に掛けられた法案こそが───代行職制度に他ならない。

 今では大規模な威海からの侵攻は止んでいるが、それも人類の保有する結界技法の技術が、威海に存在する異相具象体の力を辛うじて押さえ込んでいるに過ぎない。

 我々の暮らす世界とは、意外に脆い前提の基に、成り立っているのである。


  1. 2007/05/05(土) 00:00:32|
  2. オリ長編文章
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1

コメント

歴史改変はやはりよいな
第二回が楽しみだ
  1. 2008/09/01(月) 23:19:39 |
  2. URL |
  3. ふらー #-
  4. [ 編集]

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