全手動軽文量産機

──A.L.M──

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序章

 代行職制度。

 戦後施行された異色の法制度である。

 成立の過程はひどく単純なもので、彼の大戦によって著しく衰退した特殊技能職を再興するという名目で、議会に掛けられた。

『今我が国に必要なものとは、戦争によって失われた特殊技能執行者の保護と、次代を担うものたちの育成であります。この制度が成立されたあかつきには、彼ら育成された特殊技能執行者の働きによって、日本は後の世においても、その繁栄を確かなものとし、世界に対し確固たる地位を有していることでしょう』

 時の首相、大上源之助による熱意溢れる答弁によって、議会も拍手喝采、諸手を上げて、のりのりで可決されたと記録には残されている。
 
 制度の内容は主に二つに分けられる。

 一つは適正判定試験の実施である。人々は規定年齢に達するまでに、自身がどのような職種に向いているかを分析する判定試験を受験する義務を課された。無論、必ずしも判定職種に就かなければならないというものではないが、人間の適正を国家主導で判断するとはなにごとか、という反発はかなりの数にのぼった。しかし、判定職種への就業者には国からの莫大な支援が約束されたため、制度の成立を歓迎したものたちが多かったことも事実だ。

 もう一つは、制度の略称にもなっている代替執行という制度である。適正試験により判定された職種に対して、規定の国家試験に合格したものには、ある特定の期間、その職種に限られていた特異技能の執行権限を貸与するというものだ。

 適正試験により判定される職種は少なくとも一人当たり5~6職種あるのが当たり前で、人々は当然どの職種に就くか迷うことになる。その職種に適正があると言っても、可能な限り自分が選択したという過程があって欲しいというのが、やはり人の情というものだからだろう。

 そこで登場するのが、この代替執行という制度だ。これによって、期間が限られるとは言っても、人々はその職種がどのようなものか体験し、仕事を請け負い、技能を行使し、その職に就くか否かの判断を下すことが可能となったのだ。

 さて、これまではこの制度がどのようなものか述べてきたわけだが、この制度最大の特色にはいまだ触れていない。なぜならそれが、あまりにも異色であり、諸外国からは奇異の目を向けられている所以でもあるからだ。

 この代替執行という制度、貸与された特殊技能の執行権限を行使可能な期間は成人まで──在学中の期間に限られているのである。

 裏を返せば、この制度の対象者とは、青春真っ盛りな学生達であった。

 この制度によって、十代の若者たちは、特異な職業に限られていた技能の執行権限を、はからずも有する事になった。

 代替執行技能保持者は学校を超えて結ばれた職業連盟によって管理され、季節の節目ごとに己の技能を競い合う大会も開催された。こうした大会がどのようなノリで行われたかは、かつて学生たちの活躍の場であった部活動の大会を思い浮かべてくれればいいだろう。

 なにはともれ、学生たちは自身の適正を、その限界を確かめようとするかのように、判定職種の技能を磨き上げ、競い合い、ひた走るのであった。

 世に言う、代行職時代の始まりである。


 物語は彼ら代行職制度の主役たる学生たちが集う、とある高等学校から始まる────……


  1. 2006/09/03(日) 16:20:38|
  2. オリ長編文章
 
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